第26回国際HPHカンファレンス2018 | 範囲と目的
2018年の第26回年次HPH国際カンファレンス(国際HPHカンファレンス)はエミリア・ロマニアHPHネットワークが主催し、ボローニャ会議センターで開催されます。
今回の会議のテーマと焦点は「保健医療を転換するためのヘルスプロモーション戦略:エビデンスに基づいた政策と実践」です。
健康増進に向かって保健医療を転換することは、1986年のオタワ憲章ですでにその構想が描かれていた野心的な取り組みですが、その実現は遅れています。
したがって2018年の国際カンファレンスでは、保健医療の転換の目標追求にヘルスプロモーション戦略がどのように寄与するかを示し、反映させるつもりです。政策や大規模な変革からユーザーや地域との直接の相互作用にわたる幅広い重要な要素を提示し、議論することになります。
ヘルスプロモーションを実践する保健医療の優良ガバナンス
十分なガバナンスなしに、組織に効果的かつ持続可能な変化を起こすことはできません。ガバナンスには保健医療サービスそのものを対象とした決定だけではなく、サービスの財源、運営、提供の方法についての決定も含まれます。そこでは、ガバナンスは保健医療機関がヘルスプロモーション活動をさらに強められるような文化、構造、プロセスをも取り扱うことになります。したがって私たちはグローバルなガバナンスを展望しつつ、それがどのように各国および地域の戦略を支え、相互作用するのかを見極める必要があります。保健医療機関はどのようなガバナンス・ツール/政策がヘルスプロモーションの実施に役立つと感じているのでしょうか。これまでHPHは医療機関の優良ガバナンスにどんな貢献をしてきたのか、またガバナンスをさらに向上させるにはどうすればいいのでしょうか。
調整され統合された保健医療サービスをとおして住民中心の保健医療制度を発展させるためにHPHが果たす役割とは
保健医療の転換とは、「病気と医療機関を中心に設計され、現在支配的な細かく分断された制度」への対案として、より総合的で強固な住民中心の保健医療を発展させることを意味します。それを実現するために、WHOは「住民や地域の包括的なニーズを保健医療制度の中心に据え、自分の健康のためにより積極的な役割を果たせるよう住民をエンパワーする」よう求めています。その目標は「完全な一人の人間としての個人のニーズ全体を捉えなおすこと」にあります。
カンファレンスでの発表はHPHのコンセプトや経験がどのようにして保健医療制度をより住民中心に変えることに貢献してきたか、また患者、家族、市民とのパートナーシップに関する2016年のニューヘブン勧告が、将来の発展にどのように貢献することができるかを検討します。これらのコンセプトは、様々な種類の保健医療機関で、しかも多様なユーザーや患者集団がいる現場の日常診療で、どのように支えられているのでしょうか。
ヘルスプロモーションを非感染性疾患(NCD)管理プログラムに組込む
非感染性疾患は、それがもたらす膨大な負荷のため2011年国連総会の健康に関する議題になったほどです。その際、世界に対するNCDの負荷と脅威は、21世紀の主要な課題の一つと合意されました。NCD管理は、NCDの発見、スクリーニング、治療であると理解されていますが、ヘルスプロモーシもまた健康の決定因子―個人の行動様式と生活状況の条件の両方―に対処し、結果としてその根底にあるNCDのリスク因子にも対処しています。WHOは最近「持続可能な開発の優先課題NCDに関するモンテビデオ・ロードマップ2018-2030」を発表しました。これはこの優先課題をヘルスリテラシーと強く関連付けています。ヘルスプロモーションという視点は、介入の範囲を広げ、実行できる多様な活動を提供します。これらの介入や活動は、例えば心血管疾患、肥満、メンタルヘルス不調など一つ以上の疾患に典型的に作用します。疾病管理とヘルスプロモーションを組合わせた成功例としてどのような事例があるのでしょうか。
ユーザー参加と地域関与をつうじてより良い健康の前進を協働で生み出す
個人はそれぞれが自分の健康については専門家です。そのため保健医療の転換は、自分の健康を創出し、病気の治療に協働で取り組むことのできる住民の十分な参加なくしてはうまくいかないでしょう。したがって、問題は住民が明晰で能力のある保健医療ユーザーになるために、必要な機会やスキルや資源を提供する最善の方法を見出すことにあります。住民の参加と地域の関与のプロセスを促進するのに必要となる組織、診療、専門職のスキルとはどのようなものでしょうか。患者とその家族は保健医療の決定にどのように関わりたいと考えているのか、そこで自助グループや自助に優しい病院はどのような役割を果たせるのか。十分な保健医療を受けられない、取り残された人々を確実に関与させるにはどうすればいいのか。そして、忘れてならないのは、保健医療制度の低利用や過剰利用のリスクをどのように管理するのかという問題です。
プライマリーヘルスケアにおけるヘルスプロモーションと疾病予防の強化
プライマリーヘルスケア強化に関するアルマ・アタ宣言が合意され40年が経過しましたが、これまで起きた変化はあまりに少なすぎます。しかし、プライマリーケアやコミュニティケア(PHC)、協働を優先した保健医療サービスには有効性があり、効果的であるというエビデンスがあります。WHOは「強力なプライマリーヘルスケアの基盤とコミュニティ-の総合的な関与を内包する保健医療制度こそ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC) の背骨である」としています。克服すべき障害は何か、プライマリーヘルスケアにおけるヘルスプロモーションの強化を支えられるインセンティブ、コンピテンシー、サービス提供の形態、組織の種類とはどのようなものか。プライマリーヘルスケアに移転できるHPHの経験はなにか。そしてどのような補足的なアプローチを新たに開発し、応用する必要があるのでしょうか。
International Network of Health Promotion Hospitals and Health Services>Conference>Bologna>Scope & Purpose(原文)
https://www.hphconferences.org/bologna2018/scope-purpose/?L=0