津軽保健生活協同組合 健生病院
当院では「地域住民のいのちと健康を守り、安心して住み続けられる街づくりに貢献する」という理念のもと、医療活動を行っています。
その日々医療活動の中、サポートセンター職員が相談支援業務で「相談に行けない」「相談しても正確に伝えられない」「どの窓口に行けばよいかわからない」などの場面に直面する機会が多いと感じていました。一方で、経済的理由で治療に至らず亡くなった方が院内の調査で年間5例あったことが判明しました。これらを受けて、受診をしなくても気軽に地域で専門職がどんな相談でも、まず聞いてくれる場所があればとの想いで、「おこまりごと(無料)相談室」を開催しました。
開催場所は、買い物ついでに立ち寄るなど、多くの人がアクセスしやすいよう、駅前商業施設内の市が運営する公共スペースの交流室としました。半年の期間に月1回、土曜日の午後に計6回開催し、毎回、医師、看護師、薬剤師、サポートセンター職員等、複数名で対応しました。参加する医師も開催毎に、内科医・救急科医、精神科医・小児科医と変え、様々な相談に応えられるよう配慮しました。
6回の開催で相談件数はのべ38件(女性30件、男性8件)、相談に来られた年代は20代~70代(60~70代が多かった)と様々でした。ご本人の病気の悩み、ご家族の病気・介護の悩み、子育ての悩み、ご近所とのトラブル、施設の入所に関する悩みなど、相談内容も様々でした。相談ひとつひとつに適当と思われる職種で、1人に30分程度の時間をかけ丁寧に対応しました。
開催にあたっては、市が運営する「弘前市住民参加型まちづくり1%システム」を活用し、運営資金面の助成を受けることが出来ました。これは市民税の1%を財源に、市のまちづくりの取り組みを援助するシステムです。助成を受けるためには、企画のプレゼンテーションによる採点で採否が決まりますが、その採点は最高点で市のお墨付きももらうことが出来きました。
相談件数はそれほど多くはありませんでしたが、相談者の中には継続支援につながった方や、つながりが必要と思われる方もおり、開催の目的である「地域で気軽に相談を受け、必要な支援につなげる」、「患者になれない患者を拾い上げる」ことに大いにつながっていると確信しています。
開催前に地元ラジオ出演での呼びかけ、市の広報誌情報掲載やポスター掲示、チラシの配布等を行いましたが、思いのほか相談件数が伸びず、周知宣伝不足が課題だと感じています。
始めたばかりでまだまだ課題は多いですが、今後も継続開催し、一人でも多くの声に耳を傾け、必要な支援につなげることで地域の健康づくりを推進していきたいと考えています。
NEWSLETTER No.11 MAY 2019