広島中央保健生活協同組合 福島生協病院
「経済的支援ツールを活用した3年目職員研修」
広島中央保健生活協同組合では、2020年より3年目の職員を対象に日本HPHネットワーク作成、全日本民医連SW委員会作成協力の「医療・介護スタッフのための経済的支援ツール」を使用し、研修を行っています。
まず、MSWが「経済的支援ツールの活用」を始める前に、押さえて頂きたいポイントを講義します。
「支援」とは、力を貸して助けること、支える、心を向上させることであることを念頭に置き、経済的な問題をどのように支援をしていくのか学びます。「支援をする」大切な視点として、「人権を守るために必要な社会保障」の視点を持つこと、「個人の尊重」の視点を持つこと、「自己決定」の視点を持つこと、「基本的人権の尊重」の視点を持つことであり、先回りせず、患者様主体で支援することが大事であることを学びます。一人一人が、どんな状態であっても、かけがえのない権利を持っていることを前提に、医療や介護の支援を考えてほしいとまとめます。
講義後は、各自が事前に準備した経済的支援が必要だと感じた事例を、経済的支援ツールを使用し、グループで検討を行います。
最後に「経済的支援ツール」を、気づきとしてのツール又は窓口につなぐツールとして活用してほしい事、「群盲象を評す」の寓話を引用しチーム医療が必要である事をまとめとして終了しました。
研修終了後、参加した職員より、「支援するときに、個人を尊重することや、必要な支援と本人の望みが合っているかなど、必要な視点が沢山ある事が分かった。」「病院なので治療する所とは思っていたが、その方の人生の支援までされているのは驚いたし、感動した。」「適切な社会資源が活用できるように、経済状況を把握できるようアンテナをはっていきたい。」「様々なケースの中で、様々な専門職が関わることで色々な角度からそのケースを見ることができる事を学んだ。自分自身も専門職の一員として見解ができるようこれから業務に取り組んでいきたいと思った。」「職種によって着眼する点が異なったりしていて興味深かったです。支援のための制度を知ることでよりよい支援方法を多職種の方とも協力しながら患者さんに発信・提供できればと思いました。」と感想が寄せられています。
経済的な貧困は病気の原因になります。患者・利用者さんの経済状態を把握し、経済的に困窮している場合は社会資源を活用して支援することの重要性を今回の研修で学び、多職種でつながり、日々の業務で患者様主体の支援を実践してくれること期待します。
報告:小阪 晶子氏(広島中央保健生活協同組合 福島生協病院 リハビリテーション科)
NEWSLETTER No.24 DEC 2023