広島医療生活協同組合 広島共立病院
「患者のエンパワメント支援―カルテ閲覧の取り組み―」
広島共立病院の基本方針のひとつに「ヘルスプロモーション活動」があり、2012年11月、当院はHPHに加入しました。地域に向けた健康づくりの実践へと、地域のヘルスプロモーションホスピタルとして、更なる活動の発展に向け取り組んでいます。
今回は、当院の取り組みとして定着している「カルテ閲覧」についてご紹介いたします。
カルテ閲覧は、利用者本人の権利である、「知る権利」「学習する権利」「自己決定権」「自己情報コントロール権」に基づいた取り組みのひとつです。利用者が自分のカルテを閲覧することで、自身の治療内容や検査データを知ることにより、自己効力感の向上に繋がることが期待されます。
このカルテ閲覧は、1900年代の紙媒体のカルテ時代から実践し、歴史深い取り組みでもあります。
当時の方法は、看護師が担当医師の回診前に、入院患者ひとりひとりにカルテを配布し、回診後に回収する対応方法でした。カルテを回収する際は、未回収がないように注意を払い、神経がすり減る思いだったと、今も記憶にあります。
2003年には、電子カルテへ移行となり、新たなカルテ閲覧の方法として「電子カルテ閲覧端末」が導入されました。利用者の好きな時間とタイミングで、カルテを閲覧できる現在のスタイルが確立しました。
カルテ閲覧ができる端末は病棟と外来に設置され、タッチパネル式の画面で操作し易い工夫としています。
閲覧できる内容は、基本的にすべてのカルテ内容が閲覧するこができます。申請する基準は、本人のみとし、18歳未満及び、閲覧の理解が難しい場合は申込みを受け付けてはいません。カルテ閲覧を申請される場合は、「電子カルテ患者閲覧パスワード申込書」に必要事項を記入し、総合受付の窓口、または各病棟スタッフへ提出することで閲覧が可能になります。本人の利点のみならず、患者本人が診療情報を得ることで、医療者側とさらに情報の共有がすすみ、両者の利点となり、共同の営みの医療に繋がることも強みです。
今回、「2020年版HPH基準」が完成され、その中にある基準3「住民中心のヘルスケアおよび利用者参加の促進」の副基準4「患者の行動変容および患者のエンパワメントの支援」に向け、当院のカルテ閲覧の取り組みを持続可能なシステムとして、またヘルスケアへ繋ぐ取り組みとして継続していきたいと思います。
報告:村岡 智恵(広島共立病院 地域連携部 看護師)
NEWSLETTER No.20 MAY 2022