鳥取医療生活協同組合 鳥取生協病院
鳥取生協病院では、2019年5月に日本HPHネットワークに加盟し、院内にHPH推進委員会を立ち上げ、1職場1HPH活動の推進や救急外来患者に対する「医療・介護スタッフのための経済的支援ツール」を活用した問診など、様々なヘルスプロモーションの取り組みを進めてきました。
2021年度は、岡山協同病院の取り組みを参考に、病院全体でノーリフトを中心にした職員の腰痛予防対策に取り組むこととし、4月に腰痛発生率の現状を明らかにするための全職員アンケートを実施しました。
アンケートの結果では、職員の72.9%が何らかの腰痛を感じており、その傾向は事務系より医療職に強く、とりわけ看護師においては83.6%と多くの職員に腰痛が発生していることがわかりました。腰痛を感じる姿勢としては、中腰(67.7%)や前屈み(61.8%)で多く、立位(34.4%)でも痛みを感じていました。
また、腰痛を感じる業務としては、車椅子・ベッド間の移乗介助(48.6%)、おむつ交換(46.1%)、身体清拭(33.1%)などのベッド周辺での身体ケア以外にも、物の搬送(21.2%)、カルテ記載(18%)などでも腰痛を感じていることがわかりました。
現在は、これらの腰痛アンケートの結果をもとに、より効果的な腰痛対策の方法を提起できるように、保健師と理学療法士を中心とした腰痛ラウンドを実施しています。腰痛ラウンドの結果では、おむつ交換時にベッドの高さが低いままケアを実施していたり、ベッドからストレッチャーへの移乗の際に複数人で持ち上げることで移乗していたりと、腰部に負担がかかる方法でのケアが散見されました。またケア以外の場面でも、立位姿勢で軽度前傾位となり長時間カルテ記載や配薬準備を行っているなど、腰部への負担を軽減することができる場面も多く見られています。
今後は、各職場に腰痛予防リンクスタッフを配置して、リンクスタッフを中心にノーリフトやその他の腰痛予防対策についての学習を進めていくことを計画しています。忙しい業務の中、ノーリフトなどの腰痛予防対策に取り組む目的や効果の共通認識がなければ業務への定着は難しいと考えています。学習を進める中で、腰痛予防対策が自分たちの身体的負担を軽減するだけでなく、患者の安心・安全なケアにも繋がることを共通認識にしながら、現場が効果を実感しやすい腰痛予防対策から導入していく予定です。
NEWSLETTER No.18 SEP 2021