公益社団法人 北海道勤労者医療協会 勤医協札幌病院
「地域健康課における看護師の相談活動の取り組み」
勤医協札幌病院では、地域住民の健康増進活動を推進する、医療や介護に関する悩みをすくいあげて受診に繋げ、健康状態や病気の悪化を事前に予防するなどの目的で、2022年地域健康課に看護師が配置されました。札幌白石健康友の会の事務所も併設されており、友の会と一緒に相談活動をおこなっています。
2023年4月以降地域健康課には、友の会、社員、行政などから受診や療養生活上の困りごとなどの相談が11件寄せられました。
相談内容は、親の認知症をどうにかしたい、施設入所後の転院先を探したい、紙おむつの代行申請をしてほしい、通院に介護タクシーを利用したい、保護費が出るまで友の会からお金を借りたい、1日中部屋の電気が付いたままで中の様子が心配、など多岐に渡ります。
2022年に健康友の会で作成した「相談カード」に内容を記載し友の会と情報を共有し、札幌病院の関係部署に助けてもらいながら対応してきましたが、いくつかの事例からは、高齢世帯が困った時にどこに相談して良いか解らず、取り残される状況が垣間見えます。
特徴的な事例として、市内豊平区第1地域包括支援センターから、友の会員で独居の高齢男性の受診相談がありました。「認知機能が低下し受診を勧めるが同意せず。友の会を信頼しているので受診の説得をしてほしい」という依頼でした。
早速、友の会事務局長と自宅を訪問、友の会と伝えると快くドアを開けて下さり、生活状況を聞き取ることができました。ご本人は元気で困りごとはないと話されましたが、家の中はものが散乱し靴を履いたまま室内を眼科受診の希望がだされ、保護課へ状況を伝え、札幌病院の眼科外来や地域連携室とつながり、眼科と内科、病院送迎車も予約し保護課職員同行での受診を設定しました。
その後、急遽、他院専門外来を受診することとなり、札幌病院の受診にはつながりませんでしたが、行政や病院内の関係部署との連携で、1週間程度で対応できた貴重な事例です。
今後も、看護師が配置されている強みを生かし、地域での保健予防・相談活動の実施、独居世帯や高齢世帯への地域訪問、生活困窮者への炊き出し支援などで、健康相談や受診につなげる活動を進めたいと考えます。
そのために、行政や地域、友の会・社員と病院をつなぎ、院内の関係部署との連携を強化する役割を果たしたいと考えています。
報告:久保田 良子氏(公益社団法人 北海道勤労者医療協会 勤医協札幌病院 地域健康課)
NEWSLETTER No.24 DEC 2023