医療生協さいたま生活協同組合 埼玉協同病院
「誕生月問診の取り組み」
当院では、2014年より、ヘルスプロモーションに関する項目の聞き取りから介入において、電子カルテシステムの患者プロフィールに、肥満・口腔機能・喫煙・飲酒・運動と、経済的困難の項目を設けており、様々な部門や職種が関わる取り組みをしています。
まずは、入院において紹介する。アナムネ(患者の既往歴)用紙と患者プロフィールの内容がリンクされており、予定入院の場合は、入院受付部門で事務や看護師が事前に聞き取りを行って入力をしています。
緊急入院の場合は、アナムネは病棟看護師が聞き取り患者プロフィールに入力しています。
その後の介入は、患者プロフィールの情報や入院時の面接やその後の治療方針の中で必要と判断された場合、肥満や飲酒は栄養士が、喫煙は薬剤師が、口腔機能は歯科衛生士が、運動はリハビリ職員が、経済的困難は、退院支援看護師と相談員が介入しています。(図1)
外来においては、新患に対して喫煙と飲酒のアンケートを取っており、該当する方にパンフレットを渡し、減塩・減酒について啓蒙しています。
また、生活習慣の影響が大きいと思われる科(糖尿病・呼吸器内科・循環器内科)に絞り、ヘルスプロモーションに関する項目について、誕生月の前後の診察日に問診を取っています。(通称誕生月問診、図2)
外来カルテ準備の際に、事務がファイルに誕生月問診表を挟み、診察日当日に受付の事務が患者に問診表を渡して記載を依頼します。問診表が書けない、記載の抜けがある患者に対しては看護師が聞き取りを行い、問診表を看護師がチェックして、痩せや肥満がある場合は医師に栄養指導などの必要性について相談、口腔機能に問題がある場合は歯科受診を促す、喫煙がある場合は禁煙外来につなげる、飲酒がある場合はパンフレットを渡す、筋力低下が認められる場合は自主トレのパンフレットを渡す、経済的困難や自宅での生活に支障がみられた時は、総合サポートセンター(相談員)につなげるといった介入を行っています。その後の患者プロフィールへ情報の入力は看護師が行っています。(2022年4月現在はCOVID-19感染症流行のために病院滞在時間を減らす目的として、誕生月問診は休止中。)
現在の電子カルテシステムでは、患者プロフィールの記載率と介入率を出すまではできていますが、その後患者がどう行動変容したのかアウトカムを把握することができていないことが課題です。
また、2023年の電子カルテの更新に伴い、情報収集~介入~アウトカムの評価について再検討をしているところです。
報告:栢森 恵子(埼玉協同病院外来看護科Ⅱ看護長)
NEWSLETTER No.21 AUG 2022