社会医療法人 中信勤労者医療協会 松本協立病院
「ともにいきるわたしたちのために!SOGIE相談チームの活動紹介」
松本協立病院は、2023年11月に、院内の有志メンバーで「SOGIE相談チーム」を結成しました。
SOGIEとは、性的指向(Sexual Orientation)性自認(Gender Identity)ジェンダー表現(Gender Expression)の頭文字をとった言葉で、ひとりひとりの性のあり方をさす言葉です。
相談チームができたきっかけは、まず吉田絵理子先生(川崎協同病院)が民医連新聞に連載されていた「にじのかけはし」パンフレットを読み合わせよう!とはじまった有志の読書会です。同時期に連絡会内研修でLGBTQ研修会があり、参加者から「院内にSOGIEについて相談したり、話し合えたりする場所が必要」という声とニーズが上がりました。有志メンバーで声を掛け合い「SOGIE相談チーム」として活動がはじまりました。
現在は医師、作業療法士、看護学生対応担当者、医療事務、総務課などさまざまな部署からメンバーがあつまり、合計9名ほどで活動をしています。もともと勉強をしていたスタッフもいれば、勉強を始めたばかりのスタッフもいます。
LGBTQの当事者たちは、異性愛主義と男女二元論にもとづく社会において可視化されにくく、それによって一般的な健康問題に加えてさまざまな健康格差が生じやすい状況におかれています。病院で働いていると、受付からカルテ、入院のあらゆる手続きなどが、マジョリティにとってスムーズでわかりやすいように基準化されていますが、反対にLGBTQの当事者たちが医療にアクセスしにくい状況を作り出していることに気づきます。
医療者がSOGIEについて学ぶことは、SDHの視点でも非常に重要です。また、病院のある長野県や松本市でもパートナーシップ制度が導入されています。すでに地域で暮らす当事者の方々がいるなかで、地域の病院として院内ではたらきかけをしていくことは大切だと感じています。
活動を開始するにあたり、院内の職員に向けて「SOGIEアンケート」を取りました。各部署の業務の中で気づいたことや、SOGIE相談チームに求めることについて尋ねると、41名の方から回答を得られました。
トイレ、問診表、更衣室など、さまざまな点で改善する必要があると感じている方が多くいることがわかりました。その中から課題を洗い出し、ひとつずつアプローチができないか模索しているところです。
「にじいろレター」
現在行っている活動は、月2回お昼休みを使って行っている「にじいろ読書会」と、不定期で開催している勉強会です。3月に行った第1回勉強会は、さまざまな部署から計14名の参加があり、基礎知識について学びました。あわせてニュースレターも発行しています。
まだまだ駆け出しのチームですが、どんなSOGIEの人も安心して働き、受診できる病院を目指します。いずれは院内外向けにSOGIEの相談窓口を作り、ガイドラインを作成できるように活動をしていきたいと思っています。
報告:朝倉彩香氏(社会医療法人 中信勤労者医療協会 松本協立病院 リハビリテーション科 作業療法士)
NEWSLETTER No.26 JUNE 2024