公益社団法人北海道勤労者医療協会 勤医協札幌病院
「勤医協札幌病院LGBTQチーム」
私たちは無差別平等の医療と福祉の実現を目指す医療機関です。医療福祉従事者として人々のいのちと健康を守る役割をもち、すべての人が等しく尊重され、安心して住み続けられるまちづくりを地域の方々とともにすすめることを掲げています。
LGBTQチームは「誰もが受診しやすく、職員が働きやすい病院になるよう整備することや互いの個性や多様性を認め合い、 生きがいと誇りをもつことができるまちづくりの実現」を目指し活動しています。チーム発足は2022年8月、産婦人科医の一声で有志が集まり議論を重ねています。LGBTQ+の人たちが医療機関を受診する上でどんな障壁や困難があるかを知ることが第一歩と考え、職員や地域の方を対象に学習会を行ったり、院内ニュースを発行し活動周知にもつなげています。2023年4月には活動が認められ、札幌市LGBTフレンドリー企業に登録されました。これまでの私たちの活動をご紹介します。
院内にはすべてのジェンダーの人が利用できる「だれでもトイレ」を設置しました。とりわけトランスジェンダーの方は、外出先でトイレの利用を躊躇してしまい、病院に来ることすら困難な場合があります。当院では利用者から女性用トイレは残してほしいと意見をいただき、男性用、女性用は既存のまま、職員用や車いす用をだれでもトイレに変更し、選択できるよう改善しました。
また、事務職員の制服を見直しています。これまで女性職員にはベスト・キュロットが貸与され、男性職員は私服でした。そこで全職員を対象にシール投票によるアンケートを実施したところ、総数93票のうち「規定の制服が良い」14票に対し、「制服貸与を希望するがユニセックスなデザイン希望」76票と8割以上が後者を希望する結果でした。結果をもとにチームや管理部などと相談を進め、2024年5月初旬より事務職員全員が私服を選択できるようになりました。お試し期間を経て、職員や病院利用者、地域の方の声を聴きながら今後のあり方を検討していきます。
2024年3月の春闘では、当院が属する北海道勤労者医療協会に対して労働組合などと協同し「パートナーシップ制度」の導入を求めました。賛同する職員の声を集め、109筆の署名と43のメッセージを法人へ届けることができ、法人としても制度改善に向け検討を開始しています。多様なパートナーシップを結ぶ職員が利用でき、職員の権利が守られる制度にしていきたいです。
2023年9月には札幌レインボープライドパレードに参加しました。同じ法人内である勤医協中央病院の有志と一緒に、レインボーフラッグやメッセージボードを掲げて札幌市の中心街を練り歩きました。沿道からの声援も温かく、声をあげることの重要性を肌で感じることができました。札幌市にある医療機関として、病院内にとどまらず地域の方の声も聞きながら、今後も活動に取り組んでいきたいです。
報告:長屋 春香氏(公益社団法人北海道勤労者医療協会 勤医協札幌病院 医療連携・患者支援センター)
NEWSLETTER No.26 JUNE 2024