一般財団法人京都労働災害被災者援護財団京都城南診療所
京都城南診療所の2019年度の取り組み
「2017年2月に加盟。患者、地域、職員に加え、職域への取り組みも行っています」
当法人・事業所は、「職業病の予防、健康の保持、健康診断等を行うとともに、必要な予防・治療の普及を行い、もっと健康の増進と安全衛生の向上に貢献する」、つまり「健康づくりへの貢献」を法人使命の1つとしています。そのため、2015年にJ-HPHが発足したときから、加盟することを意識していました。
2016年度で役責者によるHPH推進委員会を立ち上げ、全常勤職員を構成メンバーとした3つのチーム構成(患者、地域、職員)でHPH活動を開始しました。
そして、2017年2月に、日本HPHネットワーク及びHPHの国際ネットワークに加入しました。
2019年度からは、「職域」チームを新設するとともに、非常勤職員を含め26名から47名の取り組みへと活動の輪を広げました。今回は、2019年度での各チーム活動から患者チームと職域チームの活動状況を報告します。
「患者チーム 「ソルティーGОD」のとりくみ」
活動テーマは、「減塩」です。患者さんだけでなく職員も、また健診受診者もまだまだ減塩に対する知識が浸透していない現状があり、当初からこのテーマで取り組んでいます。また、活動を続ける中で、1人暮らしや運転職、経済的に困っている人等、減塩したくてもできない事情を抱えた方がおられる現状を知り、SDHの視点で考えてみることを強調しています。チーム員がこころしている事は「発信する力を養う」ことです。患者さんを含めた参加者へ減塩についての啓蒙活動をおこないつつ、チームメンバー自身も知識を身につけ、自ら発信する力を養うことを大事にしています。
京都城南診療所 減塩食の実食
具体的活動の一つは「減塩推進士」づくりです。チームで「減塩推進士」認定制度をつくりました。
推進士養成のための学習会を繰り返し行い、独自のテストを作成し、認定試験を実施しました。4月に5名、12月に7名が合格し、合格者には、これも手づくりの推進士認定缶バッチを贈呈しています。また、学習会講師用の「紙芝居」をチームメンバーがそれぞれの得意分野を活かし手作りで作成しました。秋の共同組織月間では、地域での医療懇談会で紙芝居を上映しながら減塩の大切さを呼びかける取り組みを3回行いました。
また、当初から実施している尿中塩分チェックは、月間を設け9月には施設内健診者50名に、11月には外来患者168名におこないました。尿中塩分チェックで12g以上の方には外来診療に生かしています。また塩分チェッカーを購入し、希望者に貸し出しを行っています。チーム員全員が推進士試験に合格し、紙芝居を実演し好評を得たこと、他のチームとの合同企画で減塩指導をひろげられたこと、そして全チーム員で楽しく活動することができたことはみんなの確信となりました。
「HPH職域チーム 煙の無い環境づくりへの支援」
社会的に企業の健康経営志向が高まるなか、当診療所の主たる事業である健診事業での健診事業所の健康増進や健康管理に貢献できるように、当診療所独自の新たな取り組みとして「職域」に向けた活動を前年度から模索してきました。「職域」という未知の分野での活動について事業所をどう支援できるかを全員で悩みながら、いろんな意見を出し合い、HPH推進委員会でも意見交換して「煙のない環境づくりの支援」をテーマに選びました。喫煙者だけでなく、タバコを吸わない人も含めた、事業所全体の健康経営に役立てるためです。
チームの活動の目標は、事業所先が主体的になって煙のない環境づくりをすすめていけるようサポートしていくことです。
私たちからの一方的な取り組みとせず、事業所の担当者や労働者が健康への意識を高めて、自主的な健康増進活動をしてもらえることを意識しています。
現在は、取り組み先の事業所も確定し、社長さんの理解を得ることができましたが、具体的な取り組みはこれからです。
事業所訪問で取り組みの説明をしたり、現状アンケート調査をした上でアプローチ方法を検討していきます。
私たちからの一方的な取り組みとせず、事業所の担当者や労働者が健康への意識を高めて、自主的な健康増進活動をしてもらえることを意識しています。
現在は、取り組み先の事業所も確定し、社長さんの理解を得ることができましたが、具体的な取り組みはこれからです。
事業所訪問で取り組みの説明をしたり、現状アンケート調査をした上でアプローチ方法を検討していきます。
京都城南診療所 手作りの減塩紙芝居
一方、禁煙に関する学習をチーム内で着実に積み上げています。メンバーがそれぞれ担当となり、毎回、会議時に資料を準備して行いました。学習テーマは「喫煙と受動喫煙の害」「改正健康増進法」などです。新年度より保健師さんのチーム参加も決まり、具体的活動開始をめざして全チーム員が前向きになっているところです。
NEWSLETTER No.16 JAN 2021