公益社団法人福岡医療団 千鳥橋病院
「事務制服廃止の取り組み~ジェンダー平等と多様性の実現を目指して~」
千鳥橋病院が所属する全日本民医連では、全ての民医連職員のためのLGBTQ基礎知識「にじのかけはし」を発行し、ジェンダーや多様なセクシュアリティーをめぐる問題、人権や倫理の課題、社会や制度との関連性、そして私たちの仕事のあり方について学び、考え、実践に取り組んでいます。福岡医療団では2021年春闘にて「被服規程の整備」「パンツ・スカートは性別関係なく選択できるように」と事務制服に関する要求が出されました。ジェンダーフリーと多様性の視点を重視した被服の在り方について労使で協議し、事務制服の廃止に取り組みましたので報告させていただきます。
2023年9月までの事務職員制服と制服廃止後の事務職員
検討期間:2021年春闘以降2023年8月まで
検討チーム:人事部長、病院事務長、労働組合、経理(事務制服管理部門)のメンバーで構成
検討方法:チーム会議を定期的に開催し協議(2023年度6回)
2023年9月までは、事務の男性は私服、女性は制服や白衣を着用していました。2023年10月より事務制服を廃止し基本私服となる事、希望者にはユニセックス対応の制服(ポロシャツ・上衣のみ)を支給するという内容で被服規程を変更しました。事前に受付へ制服廃止のお知らせを掲示し、患者・利用者への周知を行いました。また、ポロシャツに合わせるボトムスは自由である事、ポロシャツを選択した職員が私服で勤務する日があっても良いことをマニュアルに記載しました。
希望者に支給するポロシャツは男女兼用で1人最大6枚まで支給、色も6色から選べるようにしました。ドレスコードは細かく設定せず、「オフィスカジュアル」「極端にカジュアルな服、露出の多い服は禁止」「名札は胸の高さ」の3つをあげ、接遇力の向上についても職員へ呼びかけを行いました。先行して本部、2病院、1診療所が2023年10月より実施、他の事業所についても順次変更を進めています。
厚生労働省の企業アンケート調査まとめでは、制服や服装規定におけるトランスジェンダーへの配慮に取り組んでいる企業は17.4%という結果でした。日本では11人に1人がLGBTQと言われている中で、トランスジェンダーの人は制服の強制力に苦しんでいることが分かってきました。
ジェンダーフリー・多様性重視とは、「男らしさ」「女らしさ」といった社会的、文化的な性差を無くしていこうという考え方であり、今回の取り組みは全国的に見ても制服廃止という病院が少ない中、大きく前進したと感じました。
報告:大森優子氏(公益社団法人福岡医療団 千鳥橋病院 経理用度部)
NEWSLETTER No.26 JUNE 2024