公益社団法人石川勤労者医療協会 城北病院
城北病院は2015年1月に世界HPHネットワークに加盟し、2020年1月で加盟5周年を迎えます。この間、月1回のHPH委員会と3か月に1回HPHの職場推進委員会を定期開催し、HPH活動の普及に務めてきました。HPHの3つの活動(地域の視点、患者の視点、職員の視点)で、この5年間のヘルスプロモーション活動を紹介します。
①地域の視点
城北病院は、「石川県健康友の会金沢北ブロック」と共同して地域のHPH活動を実践しています。2005年から、健康友の会会員と職員の参加による年2回の「健康チャレンジ」に取り組んできました。「健康チャレンジ」は、参加者がそれぞれ健康によい行動目標を自分で決めて、1か月間実践する活動です。最近は、春、秋の合計で3000人以上が参加しています。参加者の「健康チャレンジ」への継続した取り組みが、ライフスタイルの改善や主観的健康観の向上または維持に効果があるかどうかの検討が今後の課題です。
外来診療では、禁煙指導を2006年から継続して実施しています。入院患者さんに対して退院を見据えた禁煙指導が課題となっています。また、城北病院は2016年4月に敷地内禁煙宣言をおこないました。毎年5月末の世界禁煙週間では、禁煙川柳や禁煙ポスターを募集して、禁煙活動の啓発に努めています。
②患者の視点
外来へ定期通院中のロコモティブシンドロームが疑われる患者さんへの半年間の継続した指導をおこない、ロコモ度や主観的健康感が改善することを第4回HPHカンファレンスで報告しました。
患者さんへのHPHで目標とされる病院の社会的役割として、社会的困難な人たちが健康を享受できるように健康格差の原因へのアプローチが求められています。高齢者の単身世帯が増加する我が国において、食生活、住居、ライフライン、人間関係など、人間らしく生活するための社会的な状況を知るためのソーシャルバイタルサイン(SVS)が最近注目されています。2017年1月に、内科外来通院中の322人を対象として、SVSの問診を実施しました。そのうち22.7%が独居でした。
さらに、「正月3が日だれとも会わずに過ごす」と「体調の悪い時に相談できる人がいない」のいずれもあてはまる人を「社会的孤立状態」とすると、調査者全体の6.5%が「社会的孤立状態」でした。社会的孤立の把握と私たちが支援できることを考えていきたいと考えています。
城北病院では現在7つの患者会が活動しています。2014年から、患者会活動交流集会を毎年開催し、患者会活動の取り組みの経験を学びあっています。疾患を超えた患者会活動の交流の必要性が参加者の一致した認識となっています。患者会活動が社会的支援とヘルスリテラシーの強化につながっているかなど、患者会活動の評価がこれからの課題となります。
③職員の視点
職員の禁煙と腰痛対策を中心に進めてきました。他の医療機関と比較すると、職員の喫煙率が高い傾向にありましたが、最近徐々に低下傾向にあります。職員の禁煙のための支援と腰痛対策を引き続き継続していきます。
NEWSLETTER No.13 JAN 2020